自費出版
自費出版
「自費出版」とは分かりやすく言いますと「自分が出したい本を、それに掛かるすべての経費を、自分が出資して出す本」のことです。
大前提として「出版の自由」は憲法で保障されていますから、出版したい人は誰でも出せます。ただし、お金が必要になるということです。
10年も前のことですが「自分の本を書店に置いて勝負したいんです」といって訪ねてきた人がいました。「本はそう簡単に売れません。売って儲けようと思っているなら、やめたほうがいいです」といいました。それでも出版したいというのでお手伝いをしました。花を描いた癒される作品集です。本人の期待通りには売れませんでしたが、今もときどき書店から注文があります。
もしあなたが出版社を訪ねて、原稿内容を見て「これなら売れますよ。分かりました、ぜひ作りましょう!」と言われたらさっさと帰ったほうがいいでしょう。それはお金儲けのための方便ですから、そんな出版社はやめたほうがいいでしょう。
何が売れるかなんて、誰も分かりません。どんな大手の出版社であろうと、どんな優秀な編集者がいようと、分かりません。このことは間違いありません。
もう、2,30年前になるかと思いますが、俵万智の『サラダ記念日』という歌集が出ました。それは大手の某出版社に連載していたのですが、その出版社は歌集雑誌の読者数からいっても売れないと判断したのでしょう。出版しませんでした。その後、その企画はK社で出版されました。傾いていた会社が立ち直り、なんと新社屋が建つほどの大ベストセラーとなったという話を聞いたことがあります。実際に新社屋が建ちましたから、事実でしょう。
さて、ここからは自費出版するうえでの心がけを、いくつか書いていきます。
一番大事なことは、表題にもしましたが「それは本当に出したい本ですか?」ということです。そのことを第一に考えましょう。本によっては数十万、数百万という大金が必要になります。ただたんに「本にしたい」という自己満足だけなら再考したほうがいいでしょう。お金の無駄、資源の無駄というのは言い過ぎでしょうか。
数年前ですが「句集を出したい」という方から連絡があり、お会いしました。お話しを聞きますと、NHKの番組や公募でも何度か賞を取っていました。それらがたまったので「本にしたいのです。そして親しい人やお世話になっている方にお渡ししたい。もちろん定価などは付けません。非売品です」ということでした。上製本で表紙はクロス(布張り)で箱入りです。儲けようなどという欲が、まったく感じられない方で、2,3年に一冊出していました。
「本にしたい」という方から連絡がありました。「10冊か20冊でいいのですが、できますでしょうか」ということでした。正直、100冊以内の本は作ったことがありませんでした。100冊でも10冊でも製作費はほとんど変わりません。本作りには最低ロットというのがありますから、少部数ですと一冊当たりの単価が高くなります。お会いし、そのことを説明しました。100冊も作って無駄になっても困りますから、ということでした。この方も、ごく親しい人に贈りたいし、ともかく遺しておきたいという思いが伝わってきました。上品な歌集の本になりました。
そのような本なら自費出版をするお手伝いをさせていただきます。
冊子は営業活動が目的ではなく
出版に興味がある人への情報提供です
『書肆亥工房出版ノート1』は「本を作りたいのですが、いくらかかりますか」という問い合わせに応えるべきために作成しました。ここでいう出版は「自費出版」自費出版のことです。ここには、費用算出のための基本的な10項目について、説明しています。
専門用語の記載が書いてありますから、少し分かりにくいかもしれませんが、およそのことは理解できると思います。また問い合わせをいただければ、出版するしないは別にしまして丁寧にお応えします。
「プロなんですから、それくらい分かるのではないですか」といわれますが、この冊子に書いてある項目が分からなければ「いくらかかりますという金額」は言えません。
ぜひ一度手に取っていただきたいと思います。事務所がある岡山禁酒會舘1階に置いてありますので、ご自由にお持ち帰りください。無料発送もおこなっています。